VRやゲームで遊んでいて、「ここで振動が返ってきたら、もっと楽しいのに」と思ったことはありませんか?
好きなゲームが触覚ベストに対応していない。VRChatで触れられても、見ていないと気づけない。指を動かせるグローブに興味はあるけれど、まずは自分で作ってみたい。
そんな「もう少しこうだったらいいな」を形にしているのが、個人開発者やコミュニティです。
今回は、ゲームへ触覚を追加するMOD、非VRゲームをVR化するMOD、DIYグローブ、Joy-Conを利用するソフト、VRChat向けの専用ハードウェアを紹介します。
高価な機器を買いそろえないと楽しめない、という話ばかりではありません。すでに持っている物から試せるものもあれば、電子工作そのものを楽しめるものもあります。
どれが自分に合いそうか、少し想像しながら一緒に見ていきましょう。
好きなゲームを触覚ベストでも遊びたい人へ――floh-bhaptics
最初に紹介するのは、さまざまなゲームへbHaptics対応を追加しているfloh-bhapticsのコミュニティMOD群です。
触覚ベストを買っても、遊びたいゲームが公式対応しているとは限りません。新しい作品だけでなく、何年も遊んできたお気に入りの作品で使いたい人もいるはずです。
こうしたMODでは、銃を撃つ、攻撃を受ける、音楽が鳴るといったゲーム内の出来事を検出し、対応する触覚機器へ振動を送ります。作品によってはベストだけでなく、腕、手、足、頭部用の機器にも対応しています。
ここで面白いのは、同じ「振動」でもゲームごとに作り方が違うことです。攻撃を受けた方向を左右で分けるのか、銃を持つ腕へ返すのか。制作者が、そのゲームで何を身体に伝えると楽しいか考えているところに、ちょっとわくわくします。
こんな人が気になりそう
- bHaptics製品を持っているけれど、対応ゲームの少なさが気になっている人
- 新作だけでなく、好きな旧作を繰り返し遊ぶ人
- ゲームごとの振動表現の違いを試してみたい人
- MODの導入や設定に抵抗がない人
導入方法や現在の動作状況は、ゲームとMODごとに異なります。使う前に、対応バージョンや必要な追加ソフトを確認してください。
Risk of Rain 2の世界へ自分で入りたい人へ――VRMod
次はRisk of Rain 2 VRModです。
これは、もともと非VRだった『Risk of Rain 2』をVRで遊べるようにするコミュニティMODです。ヘッドセットで周囲を見回せるだけでなく、モーションコントローラーでの操作、追加キャラクター用API、bHapticsとShockwaveのスーツ対応も含まれています。
「好きなゲームをVRで見てみたい」と考える人は、きっと少なくないはず。でも、このMODは見るだけで終わりません。手を使って操作し、対応機器があれば身体にも反応が返ってきます。いつものゲームがどんなふうに変わるのか、気になりますね。
一つのゲームを、ユーザーたちが自分の遊びたい形へ変えてきた例です。制作した人、機能を追加した人、動作を確認した人。それぞれの作業が合わさって、通常のPCゲームとは違う遊び方が生まれています。
こんな人が気になりそう
- 『Risk of Rain 2』が好きで、VRでも遊んでみたい人
- PC VRとモーションコントローラーを使ったゲームが好きな人
- VR化と触覚対応を一緒に試したい人
- 導入手順を調べたり、不具合へ対処したりすることも楽しめる人
注意点もあります。Thunderstoreの配布ページでは、2026年7月20日の確認時点でこのMODが「非推奨」と表示されています。現在のゲーム環境で動くとは限らないため、現行対応の製品としては紹介できません。
「面白そう、今すぐ入れよう」と急ぐより、まずリポジトリやコミュニティで最新状況を確認したいMODです。
電子工作から楽しみたい人へ――LucidGloves
LucidVRのLucidGlovesは、ArduinoやESP32などを使って作るDIYのVRハプティックグローブです。OpenGlovesドライバーを通じてSteamVRへ接続します。
完成品を注文して箱から出すタイプではありません。部品を集め、組み立て、ソフトウェアを入れ、手に合わせて調整します。
だからこそ、工作が好きな人には、作っている時間まで楽しめそうです。
センサーがどうやって指の動きを検出するのか。部品の位置を変えると装着感はどう変わるのか。うまく動かなければ、配線や設定を一つずつ確認する。完成したグローブを使うだけでなく、作る途中にも発見があります。
設計やソフトウェアが公開されているので、ほかの人の作例を参考にしたり、自分なりに変更したりできます。失敗や改善方法を共有できることも、DIYプロジェクトの魅力です。
こんな人が気になりそう
- ArduinoやESP32を触ってみたい人
- 3Dプリンター、はんだ付け、配線などの工作が好きな人
- VRグローブの仕組みを自分の手で確かめたい人
- 完成品の性能だけでなく、製作や調整も楽しみたい人
一方で、必要な部品、工作精度、追跡機器、ファームウェア、キャリブレーションによって結果が変わります。誰でも同じ費用と時間で完成するとは限りません。
「安くグローブを手に入れる方法」というより、「自分でグローブを作るプロジェクト」と考えた方がよさそうです。その方が、LucidGlovesの楽しさと難しさを素直に受け取れます。
まず手元のJoy-Conで試したい人へ――HaptiConVRC
「電子工作はまだ難しそう。でも、VRChatで触れられた感覚は試してみたい」
そんな人が気になりそうなのがHaptiConVRCです。
HaptiConVRCは、VRChat内で自分のアバターへ起きた接触を、Joy-Conなどの振動で知らせる個人制作ソフトウェアです。公開ページのv1.0.0では、Joy-Con L/RとWindows 10が対応対象として示されています。
VRChatでは、誰かが自分のアバターの肩や頭へ触れても、その場所を見ていなければ気づかないことがあります。そこでJoy-Conが振動すれば、「いま触れられた」と分かります。
専用の触覚ウェアラブルではないJoy-Conを使うところが、このソフトの楽しい点です。手元に対応機器があれば、新しい専用ハードウェアを購入する前に、VRChatの接触を振動へ変える体験を試せます。
こんな人が気になりそう
- VRChatで友人と過ごすことが多い人
- 視界の外から触れられたことにも気づきたい人
- Joy-Conを持っていて、別の使い方を試してみたい人
- 専用触覚デバイスを買う前に、振動のあるVRChatを体験したい人
対応OSや機器は公開バージョンによって変わる可能性があります。導入前に販売ページの対応条件を確認してください。
身体の場所ごとに反応を分けたい人へ――ハプティら
もっと細かく振動を分けたい人には、日本の個人・同人ハードウェア「ハプティら」があります。
ハプティらは、VRChatのContactsを専用の振動モジュールへつなぐ製品です。販売ページでは、本体一台に最大16チャンネルを接続できると説明されています。
頭、腕、胴体などにモジュールを取り付ければ、アバターのどこへ接触が起きたかに合わせて振動を分けられます。Joy-Con一つを振動させる構成より準備は増えますが、身体の場所ごとに反応が変わる体験に興味がある人には魅力的です。
2026年7月20日の確認時点ではBOOTHから購入でき、販売ページには本体と振動モジュールの保証、修理部品への対応も記載されています。
個人開発の機器は、面白くても購入後の修理が心配になることがあります。保証や交換部品について案内があるのは、実際に使い続けたい人にとって大切な情報です。
こんな人が気になりそう
- VRChatで身体の場所ごとに異なる振動を受けたい人
- Joy-Conを使う方法から、もう一段細かい構成へ進みたい人
- モジュールの配置やチャンネル設定を自分で考えたい人
- 国内の個人開発ハードウェアや同人機器に興味がある人
購入前には、必要なモジュール数、装着方法、PCとの接続方法、在庫や保証条件を販売ページで確認してみてくださいね。
どこから試してみる?
今回の5つは、同じ触覚デバイスを性能順に並べたものではありません。必要な機器も、準備の手間も、楽しみ方も違います。
手持ちの触覚ベストを対応外ゲームでも使いたい
- 気になる選択肢: floh-bhaptics
- 始める前に確認したいこと: ゲーム版、必要なMOD、対応機器
『Risk of Rain 2』をVRと触覚で遊びたい
- 気になる選択肢: Risk of Rain 2 VRMod
- 始める前に確認したいこと: 現在の動作状況、依存MOD、非推奨表示
VRグローブを自分で作りたい
- 気になる選択肢: LucidGloves
- 始める前に確認したいこと: 部品、工具、工作経験、調整時間
Joy-ConでVRChatの接触を試したい
- 気になる選択肢: HaptiConVRC
- 始める前に確認したいこと: 対応OS、Joy-Con、設定方法
VRChatの接触を身体の場所ごとに分けたい
- 気になる選択肢: ハプティら
- 始める前に確認したいこと: モジュール数、装着、在庫、保証
最初は、「すでに持っている物」を確認するところからでよさそうです。
Joy-ConがあるならHaptiConVRC。bHaptics製品を持っているなら、好きなゲームの対応MODがないか探してみる。電子工作が好きならLucidGlovesの作例を見る。VRChatでより細かな反応が欲しくなったら、ハプティらの構成を調べる。
いきなり全部そろえる必要はありません。紹介ページや動画を見るだけでも、「こんな方法があるんだ」と楽しくなってきます。
欲しい体験を、自分たちで作ってみる
今回紹介した開発は、市販デバイスを否定するものではありません。市販のベスト、ゲーム、Joy-Con、電子部品、SteamVR、VRChatなど、すでにある物を活用している例が多くあります。
ただ、製品やゲームが用意した使い方だけでは、自分のやりたいことに届かない場合があります。
好きなゲームでも振動を感じたい。VRChatで触れられたことを知りたい。グローブの仕組みを自分で作って確かめたい。身体の場所ごとに反応を分けたい。
個人開発者やコミュニティは、そんな具体的な希望からソフトウェアや機器を作っています。そして公開されたものを見た別の人が、「自分も試してみたい」「ここを変えてみたい」と参加します。
触覚の楽しみ方は、公式対応している製品を選ぶだけではありません。
自分の好きなゲーム、持っている機器、得意なことから探してみると、思いがけない入口が見つかるかもしれません。
まずは机に眠っているJoy-Conを充電するところから。そんな気軽な始め方も、楽しそうですね。